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業務委託契約のチェックポイント③ 業務ごとに報酬額を定めること

菊池捷男

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テーマ:契約書

委託者の都合による契約解除をした時の清算金が計算できるだけの条項を書く必要性大なり

 業務委託契約書の多くが,業務の内容を一義的明確にしていないことは,これまでに指摘したことですが,その業務と報酬との関係も明確にされていません。

受託者の受託事務遂行能力に疑問を感じて,委託者が業務委託契約を解除する例は,非常に多いのですが,その場合の報酬額の精算の基準が明確でないのです。

契約書で,時系列に,業務遂行の内容を,項目をつけて,詳しく書いており,その業務ごとに報酬額を定めた書き方をしておれば,いつの時点で契約を解除しても,その時点までの報酬額は簡単に計算できます。つまりは,業務の出来高と出来高に応じた報酬額が分かるのです。

ところが,
⑴ 契約目的を,
 ①市場調査,➁マンション分譲事業計画の策定及び③それに関する業務の一切の委託と書いただけ,
また,
⑵ 対価(報酬)を,
 3000万円
と書いただけの契約書では,通常,契約解除をした時点の出来高も,それに見合う報酬額も,全く不明ということになりますが,その場合は,受託者が言うがままの金額しか返還してもらえない結果になることが多いのです。

業務委託契約を結ぶ場合,委託者に,非常に大きなリスクになっていることをまとめますと,
①受託者に,業務遂行能力がないリスク
➁そのため契約を解除したのに,報酬の全部又は一部を支払わなければならないリスク
③すでに支払った委託料が返還されないリスク又は一部しか返還されないリスク
④返還される金額も,多くの場合,受託者の意思次第になるリスク
です。
これらのリスクのうち➁から④までのリスクは,多くの場合,契約書の内容を濃密に書くことで避けることができます。
業務委託契約書を書く場合の注意点です。

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菊池捷男
専門家

菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

迅速(相談要請があれば原則その日の内に相談可能)、的確、丁寧(法律相談の回答は、文献や裁判例の裏付けを添付)に、相談者の立場でアドバイス

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