人も,後継者も,いつまでも,呉下の阿蒙にあらざるなり
前回,前々回とも,後継者に娘婿を充てたことのマイナスイメージをお話しましたが,プラスイメージの話も,無論,たくさんあります。
その一つ。
同じ事業目的の会社を二社有していた経営者が,一社を長男に譲り,もう一社を娘の婿に譲りました。
娘婿に譲渡した方は,娘婿が事実上の会社経営者となり,敏腕を振るい会社を発展させてきていますが,代表取締役社長は,その妻にしたまま,自らは,一歩下がって,専務取締役の地位に置いています。
先代が全幅の信頼を置いて,一社を譲っただけはある男性です。その妻(先代の娘)に向ける態度は,あたかも,谷崎潤一郎の「春琴抄」の佐助の春琴に向ける態度を彷彿させるものがあり(専務の妻にして代表取締役社長である先代の娘が,春琴のようなわがままな女性という意味では無論ありません。),先代も,心から喜んでいたものです。
こういう,事業の承継もあるということです。