人も,後継者も,いつまでも,呉下の阿蒙にあらざるなり
リア王の家来であるグロスター伯の庶子エドマンドは、父を欺し、嫡子である異母兄エドガーの追放に成功し、伯爵家の跡継ぎに納まりますが、それには飽き足らず、「若い者が頭を持ち上げるのは、年寄りが倒れた時さ。」とうそぶき、リア王に心を寄せる父親を、リア王の長女ゴネリル、次女リーガンに密告し、父親の両眼をくり抜かせ、伯爵家を乗っ取ります。
シェークスピアは、エドマンドのしたことは、吾と吾身を親木から切り放し、その樹液を断つ行為であり、このような汚物は,必ず枯れ凋み、焚木にされてしまう運命になるのが落ちだ、と予言しますが、その予言のとおり,エドマンドは、その後、兄エドガーの剣に刺されて死んでしまいます。
シェークスピアは,エドマンドのことを、豚の如く怠け、狐の如く狡く、狼の如く貪欲で、犬の如く狂い喚き、獅子の如く獲物を襲う、塵にも劣る心根の男といいます。
会社の後継者兼娘の夫として、結婚して会社入りした男性。岳父と争い,岳父からもぎ取るようにして株式を譲り受け、遂に会社の経営権を握ります。岳父は経営者の地位から降り、まもなくして、その新しい経営者となった男、前代表者の娘でもある妻に対し、“俺はお前と結婚した時から離婚を考えていた。”という台詞を残して家を出、まもなくして離婚の調停を申し立てました。
事業の後継者に、野心家を選ぶ愚は避けたいものです。