コラム
何故,事業用定期借地権設定契約は,公正証書によってしなければならないのか?
2016年3月24日 公開 / 2016年3月25日更新
借地借家法23条は
1項で,「専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。次項において同じ。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を30以上50年未満として借地権を設定する場合においては、第9条及び第16条の規定にかかわらず、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第13条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。」と規定し,
2項で,「専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし、かつ、存続期間を10年以上30年未満として借地権を設定する場合には、第3条から第8条まで、第13条及び第18条の規定は、適用しない。」と規定し,
3項で,「前2項に規定する借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない。」と規定しています。
公正証書によってでないと,契約が結べないのは,公証人に,この契約が「専ら事業の用に供する建物」の所有を目的としたものであることの審査を委ねたからです。
そのため,公証人は,事業用定期借地権設定書には,土地上に建てる建物については,別紙を用いて,設計図面(敷地図,建物配置図,平面図及び立面図)の添付を求めています。
抽象的に,倉庫業のためとか,飲食業のためとか書いただけの内容では,契約書を作ってもらえません。
また,借地借家法23条1項で,「専ら事業の用に供する建物」のことを,括弧書きで「(居住の用に供するものを除く。次項において同じ。)」と規定していますので,土地の一部に従業員用の住居(社宅)が計画されている場合は無論のこと,建物の一部に居住用の部分がある場合も,事業用借地権の設定は認めてもらえないことになっています。
このような公証人による審査の必要があるために,公正証書によってでないと契約できないことになっているのです。
関連するコラム
- 新しい契約書案 改正民法に合わせて①「瑕疵」という言葉は使わない 2015-01-06
- 契約書 賃貸借契約で「公租公課は貸主が負担する。」との約定の意味 2014-11-02
- 契約書知識 15 契約書の記載事項(2) 2014-01-06
- 契約書知識 16 契約書の表記は公用文表記法による 2014-01-07
- 契約書 第三者のためにする不動産売買契約 2014-02-10
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。