イソ弁への語録④　辞書を引き，六法を引く

イソ弁Ｄ夫，「乙社は，甲社に対して，収益が増加した場合の，増加額の２割を加算して支払う。」との示談書（案）を作り，ボス弁に見せる。

ボス弁，
「なんじゃこれは！収益とはなんのこっちゃ！意味は？」というと，Ｄ夫，依頼者から，「利益が増えたときは，その２割を加算して支払う。」という条項を作ってくれと言われたので，起案したのです，という。

そこで，ボス弁
利益と収益とは全く違う概念（言葉）だ。収益は売上のことだ。依頼者は，売上が増えた場合は，増えた金額の２割を支払うといったのか？そうじゃないだろう。売上から経費を引いた後の利益が増えた場合は，その2割を支払う，と言ったのではないのか？それにしても，利益にも，営業利益，経常利益，当期利益，税引後利益がある。依頼者はどの利益をいうのだ，ウン？
Ｄ夫「・・・・・・・・」

ボス弁，
専門用語は，辞書を引き，意味を知った上で，使うように！
また，いうまでもないが，法律用語も，そうだ。
法律用語を書く場合も，いちいち，条文と付き合わせて，正確に書くように。
法律用語も，会計用語も，一文字違うと意味が違うことが，多々ある。
必ず，辞書を引け。また，知っているつもりの法令用語でも，必ず六法を引いて，確認しながら書け。
そうする毎日が，必ず，君を成長させることになるからな。
これは昔，むかしのお話しです。かくて，Ｄ夫弁護士は，今は，押しも押されもせぬ立派な弁護士になっています。