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(補説) 改修マニュアルに違反した工事であることを告げなかったことが不法行為になるとされた事例

2015年11月12日 公開 / 2015年11月16日更新

テーマ:不動産法(売買編まとめ)

コラムカテゴリ:法律関連

 マンションの中には、全区分所有者から組織された管理組合が、快適な居住環境を維持するために、区分所有者や占有者(賃借人等)が実施する住戸の改修工事に際して遵守すべき事項を定め、組合員にその遵守を義務付けているものがありますが、改修マニュアルに違反してした改修工事は,当然,やり直しが求められます。
 東京地裁平成21.1.28判決は,そのようなマンションを購入した買主に起こった事件です。
この事件の売主は、買主に本件住戸を売却する前に、業者に頼んで住戸を改修していたのですが、床用下地材は乾式二重床システム(防振ゴム付き脚)を使用する、床仕上材には防振シートや鉛複合板等を敷く、冷温水菅の保温材の厚さは40ミリ以上にするなどの細かな規則に違反するものでした。
そのため、買主は、購入後、住戸の改修工事のやり直しをしなければならないことになり、その工事費用をかけざるを得なくなりました。
判決は、売主には、改修工事が管理組合の定めた改修マニュアルに違反していることは分かっていたことと、そのことを買主に告知しなかったことをもって、説明義務違反の不法行為責任を認め、売主から買主に対し、改修工事のやり直し工事にかかる費用と工事期間中の賃料相当損害金、さらに弁護士費用(これらの合計額の10%相当)の損害賠償を命じました。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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