マンション⑪ 建物の設置又は保存の瑕疵に関する推定規定
区分所有法60条1項は
第57条第4項に規定する場合において、第6条第3項において準用する同条第1項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る占有者が占有する専有部分の使用又は収益を目的とする契約の解除及びその専有部分の引渡しを請求することができる。
と規定しています。
これは専有部分を,所有者から,賃貸借契約や使用貸借契約によって占有している者に対する,請求を認めた規定です。
東京地裁平成17.9.13判決は,専有部分に入居している者が,奇声を発し,騒音,振動を引き起こした事案で,専有部分の所有者と入居者との間の賃貸借契約の解除と専有部分の引渡しの請求と,また,専有部分の競売の請求まで認めました。
東京地裁平成7.11.21判決は,バルコニーで野鳩の餌付けをし,悪臭,鳥の死骸,糞,羽毛,騒音なふぉの被害を生じさせた専有部分の入居者に対し,所有者との使用貸借契約を解除して,その者が占有している部分の引渡しの請求と,200万円の損害賠償の請求を認めました。