コラム
マンション㉑ 規約変更の有効,無効
2015年9月8日
1 区分所有者の承諾なしに規約の変更ができる要件
区分所有法31条1項後段は,「規約の・・・変更・・・が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。」と規定しています。
同法66条はこの31条1項を準用していますので,この規定は,団地建物所有者についても適用されます。
最高裁平成10.10.30判決は,「法66条が準用する法31条1項後段の「規約の設定,変更又は廃止が一部の団地建物所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきとき」とは,規約の設定,変更等の必要性及び合理性とこれによって一部の団地建物所有者が受ける不利益とを比較衡量し,当該団地建物所有関係の実態に照らして,その不利益が一部の団地建物所有者の受忍すべき限度を超えると認められる場合をいう,と判示しています。
これにより,規約の設定,変更等は,①必要性があること,➁合理的な内容であること,③規約の変更による一部の区分所有者又は一部の団地建物所有者が受ける不利益が受忍限度を超えていないこと,という要件を満たしたときは,当該区分所有者又は団地建物所有者の承諾なしにできるということになります。
2 店舗としての使用を禁ずる規約の変更は無効
最高裁平成9.3.27判決は,専有部分を店舗として使用している区分所有者の承諾なしに,専有部分を住戸としてのみに使用し店舗として使用することを禁ずる規約の変更は無効であると判示しました。
3 駐車場の専用使用権を消滅させる規約の変更は無効
最高裁平成10.11.20判決は,
① マンション分譲当初から1階店舗のために駐車場の専用使用権が設定されていたこと。
➁ 住戸については駐車場専用使用権が設定されてあらず,住戸の購入者は,そのことを承知して住戸を購入したこと。
③ 管理規約を変更して,駐車場の専用使用権を消滅させると,店舗の営業に不利益を与える可能性があること。
を理由に,店舗に対する区分所有者の承諾なしに駐車場の専用使用権を消滅させる規約の変更は無効であると判示しました。
4 使用料の有料化や増額は有効
前記最高裁平成10.11.20判決は,既得権と化した駐車場の使用権を消滅させる規約の変更は無効だと判示する一方で,必要性があれば,相当な額の範囲で,使用料の有料化や増額のための規約の変更は有効であるとしています。
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