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マンション⑮ 義務違反者に対する,区分所有権の競売の請求

2015年8月31日 公開 / 2015年9月7日更新

テーマ:マンション

コラムカテゴリ:法律関連

 区分所有法59条は,
「第57条第1項に規定する場合において、第6条第1項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができる。2  第57条第3項の規定は前項の訴えの提起に、前条第2項及び第3項の規定は前項の決議に準用する。
3  第1項の規定による判決に基づく競売の申立ては、その判決が確定した日から6月を経過したときは、することができない。
4  前項の競売においては、競売を申し立てられた区分所有者又はその者の計算において買い受けようとする者は、買受けの申出をすることができない。 」
と規定していますので,区分所有者の専有部分に対する区分所有権の競売ができることになります。

過去の裁判例では,
暴力団組事務所として使っていたことを理由とする競売
管理費未納を理由とする競売
などがあります。

 なお,管理費未納を理由として,競売した場合で,買受人がでたときは,その買受人は,未納管理費について,区分所有者と連帯して管理組合に対し,支払義務を負うことになっていますので,専有部分に設定した抵当権などの被担保債権額と未納管理費の合計額が,競売代金よりが多額になる場合は,競売で買い受けるとかえって損をするという結果になります。
 ですから,そのような場合は,管理組合自身が,損をしてでも,管理費未納者にマンションから退去してもらうという覚悟を持たなければ,競売の請求はしてはならないことになります。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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