継続的契約の一方的な解約は許されるか?
反射的効果という言葉は,法令用語ではありません。
たんにある事実又はある事象を説明するだけの言葉です。
その事実又は事象というのは,明文に書かれた効果を,鏡に映した場合に反射して見ることのできる反対側の効果,すなわち,反対側の立場から見たときの効果という意味です。
例えば,取得時効に関する法の規定についていいますと,
条文は,権利を取得するという側から書かれています。権利をうしなう側からは書かれていません。
しかし,時効取得の効果は,それまでの権利者が権利を失う効果でもあります。
条文に書かれた効果を,条文に書かれていない反対側の者から見た効果,これが反射的効果なのです。
債権の消滅時効も同じです。
条文は債務者の債務の消滅ですが,その反射的効果は,債権者の債権の消滅になるのです。
最高裁判所平成20年6月10日判決は,民法708条の「不法な原因のために給付をした者は,その給付したものの返還を請求することができない。」という規定の反射的効果として,不法な原因のために給付を受けた者はその給付を確定的に取得する効果があると判示しています。
また,最高裁判所平成20年12月16日判決は,債務者に対する弁済禁止の保全処分の効果の反射的効果として,債権者は(債務の履行を請求できなくなるので)債務不履行を理由に契約解除はできないと判示しているところです。。