債権法改正 契約上の地位の移転
(不動産の賃借人による妨害の停止の請求等)
第605条の4 不動産の賃借人は、第605条の2第1項に規定する対抗要件を備えた場合において、次の各号に掲げるときは、それぞれ当該各号に定める請求をすることができる。
一 その不動産の占有を第三者が妨害しているときその第三者に対する妨害の停止の請求
二 その不動産を第三者が占有しているときその第三者に対する返還の請求
【コメント】
賃借権は,債権,すなわち人に対する権利であり,物権,すなわち物に対する権利ではないため,賃借物につき第三者が妨害た場合,賃借人は,第三者に対して,妨害排除請求はできないのであるが,対抗要件を備えた賃借権については,第三者から妨害があった場合,その第三者に対して妨害排除請求ができる,というのが判例法理である。改正法は,この判例法理を明文化したもの。また,妨害の態様に,たんなる妨害と,賃借物の占有があることから,前者については妨害の停止の請求,後者については物の返還請求を認めることにしたもの。