債権法改正 債務引受① 併存的債務引受
本コラムは,本年2月に公表された債権法改正要綱案を前提にしています。
要綱案は,その後,本年3月31日に債権法改正案になって国会に上程され,現在審議中です。
要綱案と改正案では,実質的な違いはありませんが,部分的には,用語や表現が違うところがあります。
いずれ,本コラムは,法律改正がなされた後で,正しい条文を紹介した上で,補足させていただく予定です。
それまでの間,要綱案の説明で,ご容赦ください。
民法117条
(1) 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
(2) (1)は、次のいずれかに該当するときは、適用しない。
ア 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき。
イ 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき。ただし、他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りでない。
ウ 他人の代理人として契約をした者が行為能力を有しなかったとき。
コメント
現行法では,代理権の有無についての立証責任が,代理人にあるのか取引の相手方になるのかが不明確であったため,(1) で,立証責任は代理人にあることを明記したもの。(2)のアとイは,判例上の違いを明確にするため2つに分けたもの,ウは現行法のまま。