契約書知識 16 契約書の表記は公用文表記法による
賃貸借契約の場合に多いのですが,契約解除理由があって,契約解除の意思表示をする段階で,賃借人が不在であるとか,賃借人が郵便物の受領を拒否するなどの理由で,解除の意思表示が契約の相手方に届かない場合があります。
そのような場合に備えて,予め,契約書の中に,例えば,「賃貸人が本契約を解除する場合は,契約書に記載された賃借人の住所あてに普通郵便ですることとする。2 前項の場合,解除の意思表示は,郵便物が通常到達すべきであった時に到達したものとみなす。」というような,現実には相手方に契約解除の意思表示が到達していない場合でも到達したものと「みなす」規定を置く場合があります。
このような規定は有効なのでしょうか?
裁判例を紹介しますと,
①東京地判平成21年9月30日判決は,保険契約「約款において、保険契約者に対してその住所を保険者に届け出ることを義務付け、保険者が保険契約者に対してする催告等は、その届出がされた住所にあてて発すれば足り、当該住所あてに発送された催告等は、それが通常到達すべきであった時に到達したものとみなす旨の定めを置」くことは有効である判示しています
➁東京地判平成23年12月1日判決も,自動車のリース契約の解除の意思表示を書面で発信すれば,3日後に到達したものとみなす,という規定は,有効であると判示しています。