契約書知識 16 契約書の表記は公用文表記法による
1,過怠約款や懈怠約款の意味
過怠(かたい)も,懈怠(けたい)も,“怠る”という意味です。約款は,“文書に書かれた約束事”の意味ですので,過怠約款とは,契約書に書かれた,債務者が債務の履行を怠ったときの約束事という意味になります。
(1)解除約款
過怠約款の第一は,契約解除約款です。債務を履行しない者との間で,契約を続けていく意味はありません。まずは,契約を解除し,こちらの債務の履行もしないですむ措置をとる必要があるからです。
(2)期限の利益喪失約款
債務者に債務の不履行(つまりは過怠や懈怠)が生じた場合,その債務以外の,まだ履行期が到来していない債務についても,すぐに支払えと言いたいのが人情でしょう。その場合に,弁済期未到来の債務の支払を即時に支払うよう請求できるようにするのが,期限の利益喪失約款です。
(3)遅延損害金約款
債務の履行を怠った者に対しては,通常の利息を超える遅延損害金を課すのが通常です。年14.6%という遅延損害金割合が多いようです。これも過怠約款の一つです。
(4)違約金約款
不動産売買契約書などでは,当事者のいずれかに債務不履行があったときは,すでに支払われている手付金を違約金として,買主違約の場合は没収,売主違約の場合は倍返しをするような約束条項が入っていますが,不動産売買契約以外でも,違約をすれば一定の金額を違約金として支払う合意を結ぶこともあります。