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公用文の書き方 17 副詞を平仮名で書く場合とは

菊池捷男

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テーマ:公用文用語

 「公用文における漢字使用等について」別表1(2)のイには,副詞は,原則として,漢字で書くものとされ,その例として,「余り  至って  大いに  恐らく  概して  必ず  必ずしも 辛うじて  極めて  殊に  更に  実に  少なくとも  少し 既に  全て  切に  大して  絶えず  互いに  直ちに   例えば  次いで  努めて  常に  特に  突然  初めて 果たして  甚だ  再び  全く  無論  最も  専ら  僅か 割に」が挙げられていますが,
一方で,例として,「かなり  ふと  やはり  よほど  」は,平仮名で書くべきものと定められています。

 漢字で書く副詞と平仮名で書く副詞の違いは,那辺にありや。
 その答えは,昨日のコラム「後は知るべし,思うべし」に書いています。否,昨日のコラムに,その答えの出し方を書いています。
 漢字が,その持つ固有の意味を発揮する言葉は,漢字で書く。歌舞伎役者が,その最高の演技ができる場面で演技をする。
 しかし,その言葉にふさわしい漢字がないところでは,漢字の書きようがない。したがって,平仮名で書くほかはない,ということになります。

副詞である「かなり」も「ふと」も「やはり」も「よほど」も,その読み方のできる漢字は存在しないのです。平仮名でしか書きようがないのです。

 歌舞伎役者が,演技をする場面のないところで,顔を出すことはできません。その用務は,黒子がすべきことになる,ということです。

 

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菊池捷男(弁護士)

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