市街化区域の農地についての小作契約の解約と適正な離作料
Q 私は,アパートの賃借人Aです。今般隣室に入居してきた借家人Bが深夜まで友人を連れてきて騒ぐため,家主に頼んで,Bに何度も注意をしてもらってきたのですが,効果はなく,借家を退去せざるを得なくなりました。
このような結果になったことについて,家主や家主とBとの間のアパート賃貸借契約を媒介した不動産業者の責任を問うことはできませんか?
A
1,賃貸人の義務
賃貸人は,賃借人に対し,賃貸物件を使用収益させる義務を負っています(民法606条)。その内容の1つとして,借家人に対し,借家で平穏な生活をさせる義務,したがって,隣室の借家人が騒音などの迷惑行為を行っているときはそれを止めさせる義務(最終的には,Bの迷惑行為を債務不履行として賃貸借契約を解除して退去させる義務)を負います。
とはいうものの,事実として,①隣室の借家人Bが真に騒音を出しているのか,➁その騒音が社会生活上隣室の借家人Aの受任の限度を超えているものか,を調査することが必要です。その調査も家主の義務になります。
家主が,そのような義務を履行しないために,Aが退去せざるを得なくなったとすれば,Aは家主に対し,損害賠償の請求ができることになります。
2,媒介業者の義務
媒介業者は,借家人Bに対し,借家で騒音を出すな,隣室の借家人Aに対し迷惑行為をするな,と要求する法律上の権利はありません。したがって,本問で,仲介業者の責任を問うことはできません。ただし,Bが過去に他の借家で迷惑行為をし,そのため今回のような住民間のトラブルを起こした事実があり,媒介業者がそのことを知っていたとき又は過失によって知らなかったときは,今回のようなトラブルの発生と,隣室の住人への精神的な損害の発生は予見できたことになりますので,直接,隣室の借家人Aに対し,損害賠償義務を負う場合も予想はされます。ただ,この場合も,不動産媒介業者には,Bをアパートから退去させることはできませんので,自ずと,家主の義務に比べ軽いものになるでしょう。