不動産 公図の歴史
1,容積率の移転
例えば,容積率が400%の土地の所有者甲が,隣地の所有者乙に容積率100%を譲渡すれば,容積率300%の建物しか建てられなくなりますが,乙は容積率が500%の建物を建築することができることになります。
土地は,都市計画法や建築基準法で,容積率が制限されているものですが,ある土地に認められた容積率の一部を他の土地のために移転することができる場合があります。
これには,①都市計画法上の地区計画による容積適正配分型地区計画制度や再開発促進区制度等と、地域地区による特例容積率適用地区や特定街区等があり,また,➁建築基準法上の一団地の総合的設計制度や連担建築物設計制度等があります。
容積率を移転する場合は,契約によりますが,法的には,債権としての「余剰容積率利用権」の移転と理解されています。
2, 空中地上権
民法269条の2第1項は「地下又は空間は、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができる。この場合においては、設定行為で、地上権の行使のためにその土地の使用に制限を加えることができる。」と規定していますが,これは「地下又は空間を目的とする地上権」,たんに空中地上権といわれます。地下タンクを埋設するために,地下の一定の高さの範囲内の空間に空中地上権を設定するような場合になります。この権利は,物権です。
3,容積率の譲渡と,空中地上権の設定は似て非なるものです。