公用文用語 もと(「下」と「元」と「基」)の使い分け
1,おりる(降りる・下りる)
① 降りる
意味:(主として人が)高いところから低いところへ移動すること
例 :階段を降りる。電車から降りる。社長を降りる。試合を降りる。対立候補が降りる。
意味:自然現象にも使われる
例 :霜が降りる。寄生虫が降りる。
熟語:降格・降雨・降雪・降参・投降
➁ 下りる
意味:(主として物が)高いところから低いところへ移動すること
例 :遮断機が下りる。肩の荷が下りる。幕が下りる。許可が下りる。
意味:人に関する場合もある
例 :駆け下りる。階段を下りる。(これらは「降りる」も使われています。)
熟語:階下・眼下・下男・下等
③「降りる」と「下りる」を使い分ける基準は明確ではない
傾向としては、物の移動の場合は「下りる」、人の移動の場合は「降りる」が使われいるといわれますが、物の移動の場合でも、霜が降りる、朝露が降りるなど「降りる」が使われる場合もあり、人が乗り物から「おりる」場合、飛行機や車からは「降りる」が使われているものの、舟や馬からは「下りる」が使われています。ただ、これらは下船や下馬という熟語があるからだとされています。
ですから、熟語がないところでは、物の移動の場合は「下りる」、人の移動の場合は「降りる」が使われいる傾向にあるといえるでしょう。
2,おわり(「終わり」か「終り」か?)
① 終わり
本則:「送り仮名の付け方」(昭和48年6月18日内閣告示第2号)本文1の通則2本則(1)により、「終える」という用語に合わせた用語です。
すなわち、「終」を意味する動詞は、自動詞の「おわる」と他動詞の「おえる」の2つがあり、漢字で書くと「終わる」と「終える」の2つになり、「終」の訓読みは「お」になりますので、それに合わせて、名詞も「終わり」と書くものとされたのです。
② 終り
許容:「送り仮名の付け方」では,「終り」も許容されています。
この場合の「終」の訓読みは「おわ」になります。
動詞が自動詞としての「終わる」と他動詞としての「終える」があるとはいえ、名詞は「おわり」1つだけなので「終り」を,慣用として認めるという意味です。
3,おこなう(行う)
「おこなう」を漢字で表記すると、自動詞と他動詞の2つがあるわけではないので、「行う」が本則です。
しかし、「行なう」も許容とされています。