民法雑学 心が傷つけられたとき
Q 当社は多数の商標権の登録を受けている会社ですが,その中には,使用していないものもあります。商標権は,使用しないと無くなるということを耳にしましたが,事実ですか?
A 事実です。ただし,自動的になくなるというのではなく,誰かから,不使用を理由に,取消審判の請求がなされた場合に,使用していたことを証明できなかったときです。
すなわち,商標法50条1項は「継続して三年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標(・・・)の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と定められているからです。
「ただし、その指定商品又は指定役務についてその登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしたときは、この限りでない。」(同条2項ただし書き)。とされています。
ただ,ここでいう「使用していないことについて正当な理由がある」場合とは,「地震,水害等の不可抗力,放火・破壊等の第三者の故意・過失による事由,法令の禁止等の公権力の発動等に係る事由等商標権者,専用使用権者又は通常使用権者の責めに帰すことができない事由が発生したために使用をすることができなかった場合をいうというのが裁判例(プリンセスクルーズ事件・東京高裁平成8年11月26日判決)です。
なお,不使用を理由とする取消の審判の請求前に,使用していた場合でも,登録商標の使用がその不使用取消の審判の請求がされることを知つた後であることを含む一定の要件を満たしているときは,登録商標を使用していたとはみられない場合があります(同条3項)。