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契約書 顧客情報の共同利用と制限①

菊池捷男

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テーマ:契約書

1,顧客情報は,事業者にとっては財産でもあります。他の業者と共同で利用する場合の覚書のひな形(A案)を作ってみました。これは,甲がデパート,乙が入店したテナントをイメージしています。
このA案は,甲有利に作ったひな形です。甲乙同等のB案は,明日のコラムで書いてみます。

3,顧客情報の取り扱いに関する覚書(A案)
甲と乙とは,下記契約(以下「本契約」という。)を履行することに伴い,乙が甲の店舗内で取得するする顧客に関する情報(以下「顧客情報」という。)の利用,管理及び処分に関し,次のとおり,覚書を取り交わす。
(情報の帰属)
第1条 乙が,甲との本契約の履行に関して収集した顧客情報に関する権利はすべて甲に帰属する。

(収集使用目的)
第2条 乙は甲との間の本契約の履行の目的以外に、顧客情報を甲の店舗内で収集・使用してはならない。なお、収集できる顧客情報は、氏名、住所、電話番号、携帯電話番号、性別、生年月日、商品購入履歴、家族の情報までとし、メールアドレスの収集は行わない。

(事前の通知・承諾)
第3条 乙が甲の店舗内で顧客情報を収集する場合には、事前に甲に通知し、甲の承諾を得た上で行うものとする。

(本人の同意)
第4条 乙は、顧客情報の収集にあたっては、顧客本人に対し,利用目的、顧客情報の管理責任者の氏名を告げて、顧客本人の同意を得て行うものとする。

(守秘義務)
第5条 乙は,顧客情報につき守秘義務を負うものとし、第三者への提供を行ってはならない。

(管理方法)
第6条 乙が取得した顧客情報の管理は,甲の指示に従って行うものとする。

(監督)
第7条 甲は、乙が行う顧客情報の管理状況について安全管理が図られるよう、必要かつ適切な監督を行うことができる。

(パソコン、携帯型情報端末等の持ちこみ)
第8条 乙が甲の店舗内にパソコン・携帯型情報端末等(以下「情報機器端末」 という。)を持ちこむ場合は,機種及び台数等を甲の指定する申請書及び誓約書を甲に届出るものとし、当該情報機器端末で顧客情報の管理は行わないものとする。

(持ち出し禁止)
第9条 乙は、甲の店舗内で収集した顧客情報を、いかなる形態・方法であっても、甲の店舗外へ持ち出し、あるいはデータの転送を行ってはならない。

(研修・教育)
第10条 乙の従業員に対する顧客情報の適正な取り扱い及び安全管理に関する研修・教育については、甲の定める方法に従って、乙が責任をもって行うものとする。

(契約終了時)
第11条 乙甲間の本契約が終了したときは,乙は,すべての顧客情報を甲に返却し,かつ,削除するものとする。

(損害賠償)
第12条 乙から顧客情報が漏洩・流出したときは,乙の故意過失にかかわらず,乙は甲に対し、甲に生じたすべての損害を賠償する責任を負うものとする。乙が不正に顧客情報を収集したとき,目的外で利用したときも同様とする。

(契約の即時解約)
第13条 乙が本覚書に定める条項に違反した場合は、甲は何らの通知催告を要せず直ちに本契約を解除することができるものとする。


本覚書の内容を証するため本書を2通作成し、乙甲各1通を保有する。

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菊池捷男
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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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