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菊池捷男

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菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

コラム

土地の使用借権が消滅させられたことによる損害

不動産法(賃貸借編)

2014年2月5日 / 2017年9月27日更新

Q 
 父が子に建物を贈与して,敷地を無償で使わせる場合,子の土地を使う関係は,土地の使用貸借契約になるのですが,子が,建物を賃貸し,借家人が失火により建物を滅失させた場合,子は,建物の時価に相当する金額の損害を受けたことになります(昨日のコラム参照)。
 この場合,子は,建物が滅失していなければ得られる賃料収入が得られなくなりますが,この得べかりし利益の喪失分(逸失利益)は,借家人に対し請求できるのでしょうか?

A 
東京高判平3.2.18は,
ア)甲は,昭和59年5月ころ、子である乙に,家賃を小遣い代わりに取得させること及び相続税対策の目的で,建物を贈与した上、同建物が朽廃、滅失するまでこれを所有する目的のため敷地を上告人に無償で貸し渡した。
イ)乙は,丙に,同建物を賃料月額25,000円で賃貸した。
ウ)同建物は,昭和63年12月に,丙の同居の家族(二女)の失火によって,全焼した。
エ)それにより,乙は,建物の所有権と敷地の使用借権を喪失した。
オ)その後,乙は,建物の火災保険金の支払いを受け,建物の価格に相当する額の損害が補填された。
カ)同建物は、昭和27年建築の木造2階建居宅で老朽化しており、通常の利用方法で相応の維持修繕を施せば、少なくとも本件火災後10年程度は存続したものと推定される。
キ)本件火災がなかったとした場合に、本件建物から得られる火災後10年間の収益の額は、1350万円を超えない。
という事実を前提に,
(a)建物が朽廃、滅失するまでこれを所有するという目的でされた使用貸借に基づく権利は独自の財産的価値があるものとして損害賠償の対象となるものではない。
(b)建物の焼失による損害額の上限は、焼失時の建物価格と、建物の存続期間に建物によって得ることができる利益の額のうち、いずれか高額の方となる。
(c)乙は,建物にかけた火災保険から保険金の支払いを受けた。その保険金は建物の時価を下回るものではない。したがって,建物の損害は填補された。賃料の逸失利益がそれを超えるものであることの立証がない。
(c)したがって,乙は,丙に対し,賃料の逸失利益の請求はできない。
と判示しましたが,

最判平6.10.11は,
「地上の建物が朽廃、滅失するまでこれを所有するという目的でされた土地の使用貸借の借主が契約の途中で右土地を使用することができなくなった場合には,特別の事情のない限り、右土地使用に係る経済的利益の喪失による損害が発生するものというべきであり、また、右経済的利益が通常は建物の本体のみの価格(建物の再構築価格から経年による減価分を控除した価格)に含まれるということはできない。そうすると、乙は、少なくとも、焼失時の本件建物の本体の価格と,本件土地使用に係る経済的利益に相当する額との合計額を本件建物の焼失による損害として乙に請求することができるものというべきである。」と判示し,前記東京高裁判決を破棄しました。

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