契約書 第三者のためにする不動産売買契約
1,2つの言い方
固定資産税を賦課するための基準になる価格をいうのに、固定資産評価額という言い方をする人と、固定資産税評価額という言い方をする人がいますが、これらの用語は法令用語ではありません。ですから、そのいずれの言葉を用いても間違いとはいえませんが、正確な意味を伝えるには、固定資産税評価額の方が優れていると思われます。
理由は、固定資産である土地については、価格が少なくとも3つあるからです。
ですから、たんに固定資産評価額という場合、その価格が土地基本法第16条「国は、適正な地価の形成及び課税の適正化に資するため、土地の正常な価格を公示するとともに、公的土地評価について相互の均衡と適正化が図られるように努めるものとする。」により公示された価格(公示価格)なのか、相続税を課する基準になる価格(路線価)なのか、固定資産税の基準になる価格なのかが一義的に明確とはいえません。
しかし、固定資産税評価額という言い方の場合は、固定資産税の課税標準になる価格という意味の評価額であることが明確になります。ですから,固定資産税評価額という言い方の方が優れているのです。
なお、路線価は公示価格の80%、また、固定資産税評価額は公示価格の70%を基準に決定されることとなっています。
2,固定資産について
固定資産とは、地方税法341条1項1号で「土地、家屋及び償却資産を総称する。」と定義されています。このうち土地とは、田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野その他の土地をいうとされ、家屋とは、住家、店舗、工場、倉庫その他の建物をいうとされ、償却資産とは、土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産です。
固定資産税を課すのは当該固定資産所在の市町村ですが、そのため市町村では、固定資産課税台帳 (具体的は、土地課税台帳、土地補充課税台帳、家屋課税台帳、家屋補充課税台帳及び償却資産課税台帳。固定資産課税台帳というのは、これらの帳簿を総称したもの)が作製されています。
固定資産税の納税義務者は、固定資産の所有者、質権者、超長期の地上権者です(地方税法343条1項)が、固定資産の所有者とは、土地又は家屋については、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている者(同条2項)、償却資産については、償却資産課税台帳に所有者として登録されている者という形式基準が採用されています(同3項)。
固定資産税の課税標準は、基準年度に係る賦課期日における価格で固定資産課税台帳に登録されたもの(349条1項2項)とされ、これが固定資産税評価額のことです。