地方行政 臨時職員と労働契約法18条による無期転換請求権
1,契約とは法律効果を発生させる合意なり
民法555条は「売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」と規定していますが、ここでいう「売買」は「売買契約」のことです。
つまり、売買契約は、売主から買主に財産権が移転するという効果(法律効果)と買主から売主に対し代金を支払う義務が発生するという効果を発生させるための合意をいいます。
2,契約自由の原則とその制約
契約を結ぶか結ばないか、結ぶ場合にどのような内容の契約にするかは、契約当事者が自由に決めることができる、というのが契約自由の原則です。
しかし、民法90条は「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」と規定して、公序良俗に反する契約は無効になると規定しています。
また独占禁止法3条は「事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。」と規定していますが、独禁法に反する契約は無効になると解されています。
さらに、借地借家法9条に「この節の規定に反する特約で借地権者に不利となるものは無効とする」との規定があるように、強行法規に違反する契約も無効になります。
自治体のする契約も当然このような制約を受けます。
参照
・東京高裁平成13.2.7判決は、贈収賄による契約は民法90条により無効になると判示
・最高裁平成20.1.18判決は、土地開発公社と自治体との売買契約が地方財政法に違反している場合は無効になると判示(ただし、この判決は大阪高裁判決の差戻し判決で、差戻し後大阪高裁で審理再開、同高裁の判決を経て、最高裁平成21.12.17判決は、この件は地方財政法に違反していないとして住民を敗訴させた)
また、自治体のする契約には、契約の方法等についても制約も受けます。
すなわち、
自治体が当事者となる契約は、地方自治法234条1項の「売買、貸借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法により締結するものとする。」等の制約を受けているのです。