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商取引 7 売掛金の回収方法② 約定解除権

菊池捷男

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テーマ:商取引

1解除特約と約定解除権
継続的な売買契約では、必ずと言ってよいほど、次のような特約が結ばれています。
第○○条
買主乙において、次の事実が生じたときは、売主は、催告及び自己の債務の履行をしないで直ちに本契約を解除することができる。
ア)乙が差押、仮差押、仮処分、公売処分、その他公権力の処分を受け、又は、再生手続、更生手続、破産手続の開始を申し立てられ、又は自ら再生手続、更生手続、破産手続の開始の申立をしたとき
イ(以下は省略)

このような特約を「解除特約」といいますが、この特約に基づき売買契約を解除することのできる権利は「約定解除権」と言われます。この権利が行使されると、売主は、買主に対し、引き渡し済みの商品の返還を請求できますが、これは、契約を解除しないで動産売買の先取特権を行使して競売を申し立てるよりは、有利です。

2効果
解除権の行使前に、乙につき破産手続が開始した場合でも、甲につき法定解除又は約定解除権が発生し、いつでも解除の意思表示が出来る状態にあるときは、解除権をもって破産管財人に対し対抗できるとされています(千葉勝美「更生管財人の第三者的地位」司法研修所論集71号11頁)。

3ただし、更生手続や再生手続の場合は別
最高裁判所昭和57.3.30判決は、更生手続の開始の申立があったことを解除事由とする特約を、また、最高裁判所平成20.12.16判決は、民事再生手続開始の申立てがあったことを解除事由とする特約を、会社更生や民事再生手続の趣旨,目的に反するものとして無効としています。

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菊池捷男
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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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