交通事故 43 遅延損害金
判例紹介
交通事故によってヘルニアになるケースがあります。
裁判例を紹介します。
① 障害の原因となる症状が事故によるものかが問題となった事案
【浦和地判平成12年3月29日】
○年齢 :事故時30歳
○自賠責等級 :非該当
○裁判所認定等級等:5級,40歳から67歳までの27年間,喪失率57%
理由
本件事故の翌日から激しい右下肢痛等を訴えていること,事故後4ヶ月後には第4,第5腰椎の不安定性(X線撮影),知覚低下や筋力低下等(診察),軽度のヘルニア様突出(MRI検査)等,椎間板ヘルニアを窺わせる所見が得られ,事故前において原告に腰椎及び右下肢痛等の自覚症状はなかったこと等から,本件事故と椎間板ヘルニアとの因果関係を肯定。
【大阪地判平成12年11月20日】
○年齢 :事故時41歳
○自賠責等級 :非該当
○裁判所認定等級等:14級,5年間,喪失率14%
理由
本件事故後一貫して,左上肢のしびれ,握力低下等を歌えていたこと,事故後約2ヶ月経過した時点でMRIに椎間板ヘルニアが存在していたこと,事故前には症状が窺えないこと,事故態様からすると頚部に相当程度の力が加わったこと等を理由として,因果関係を肯定。
② 事故によって発生した症状が障害の原因となっているかが問題となった事案
【京都地判平成12年7月13日】
○年齢 :事故時41歳
○自賠責等級 :非該当
○裁判所認定等級等:14級,5年間,喪失率14%
理由
頸椎椎間板ヘルニアは,経年変化により,本件事故前から存在していたものであるが,本件事故前において原告は肉体労働に従事するのに何ら支障がなかったのであるから,頸椎椎間板の症状は発現していなかった。椎間板ヘルニアによる症状が,本件事故による刺激を契機として発現した至ったとして,本件事故後の症状と本件事故との因果関係を肯定。
※ 加齢によるヘルニア等を素因として斟酌した事案
【千葉地判平成21年5月27日】
傷病名:頸椎捻挫,腰痛捻挫,外傷性頸肩腕症候群
テスト:モーレーテスト,スパーリングテスト陽性
画像所見:頚部C四ないし七に変性狭窄症,不安定性,ヘルニア
医師の回答:加齢による変化等が今回の事故の症状や治療期間に及ぼす影響について「影響がある」と記載あり。
理由
本件事故前には本件症状あったと認めることはできないので本件事故を契機として発症したとして本件事故と上記症状との因果関係を肯定。本件障害は,加齢に伴う通常の変性ということはできないとして,素因を斟酌し寄与割合30%認めた。