請負 最高裁破棄判決例 請負契約の有効・無効は内容による
最高裁平成18.9.4は、次の事実関係の下では、注文予定者甲は下請予定業者丙に対し、損害賠償をする責任があると判示しました。
事実関係
①甲が施主となり乙に建築工事を発注する予定で、甲と乙とが契約の締結を目指して協議をしていたが、まだ契約の締結には至らなかった時期
②甲は、竣工予定時期までに工事を終わらせる必要があるとして、乙に対し、準備作業を開始することを求めた。
③乙は、甲との間に建築請負契約を締結したときは丙に下請させる予定であったので、甲の同意を得て丙に工事の準備をさせた。
④丙は将来甲と乙との間に建築請負契約が結ばれたときは、乙との間に下請契約を結んで準備作業代金を含む下請代金報酬を得ることができること期待して準備作業をした。
⑤その後、甲は、将来の収入に不安があるとの理由で(つまり甲の都合で)、建築工事を中止した。
⑥そのために、丙は準備にかけた費用の回収ができないことになった。
コラム3は、注文予定者の請負予定業者に対する契約締結上の過失責任が認められたケースですが、この判決は、注文予定者と直接契約を結ぶことのない下請予定業者に対する契約締結上の過失責任を認めたのです。