労働 減給処分における減給額の制限
⑷ 審判期日には、事実関係を説明できる者、調停を成立させる権限のある者を同行すること
審判期日は、原則として3回までしか開かれません(15条2項)ので、実質的な審理は、初回から始まります。訴訟におけるような、「相手方の主張に対する反論や証拠の提出は、次回にします」調の、悠長な弁護活動は許されません。初回期日から、争点整理がなされますので、必ず、争点に関する詳細な事実関係を説明できる者と、調停を成立させる権限を持った者を同行しなければなりません。むろん、事実を説明するのに、複数の者が必要であれば、複数の者を同行させることも可能です。
このように、当事者にとって、したがって、弁護士にとって、労働審判事件は、急いで準備をしなければならない(また、事実関係をできるだけ詳しく調べなければならない)という点では、きつい仕事にはなるのですが、一方で、事実関係については、審判官(裁判官)や審判委員から、当事者や関係者に、直接、根掘り葉掘り質問してもらえるので、楽と言えば、楽な部分もあります。
すなわち、訴訟では、事実関係を知る者に対する証人尋問は、まずは証人申請をした弁護士が、主尋問をしなければなりませんので、あらかじめ、尋問の内容や証言内容について、十分な打合せが必要になりますが、労働審判事件では、冒頭から、審判官や審判委員が、当事者や参考人に、質問を発し、直接訊きだしていくからです。
この点も、労働審判が、便利に思える点です。