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使用者のための労働問題 6 変形労働時間制と残業手当

菊池捷男

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テーマ:労働

1変形労働時間制
企業の繁閑に合わせて、忙しいときには1週40時間または1日8時間を超えて働いても、暇なときには1週40時間または1日8時間より短い時間だけ働くことにし、ある期間を平均すれば1週40時間、1日8時間を超えなければ法定労働時間を超えて働いたことにならないという制度です。
 この変形労働時間制は、「ある期間」に応じて、1週間単位の非定型的変形労働時間制、1か月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制、フレックスタイム制があります。この制度を利用して働いた場合は、労働時間が1日8時間を超える日があっても、36(サブロク)協定を結ぶ必要もなく、また従業員に割増賃金を支払う必要もありません。

2 1か月単位の変形労働時間制
 1か月以内の一定の期間(変形期間と言いますが、1か月でも4週間でもいいことになっております。)を平均して、1週間の労働時間が40時間を超えなければ、特定の週や日に40時間または8時間を超えてもかまわないという制度です。この1か月単位の変形労働時間制を採用するためには、
  ①就業規則または労働協定による定めがあること
  ②1か月平均して週40時間以内の労働時間とすること
  ③法定労働時間を超える週または日が特定されていること
  ④変形期間の起算日を明確にすること
です。

3 1年単位の変形労働時間制
 この制度は1か月以上1年以内の期間を変形期間とし、変形期間を平均して1週間あたり40時間を超えなければ、特定の週または日に40時間または8時間を超えてもかまわないという制度です。
 この制度を採用するためには労使協定を結んで、労働基準監督署に届け出なければなりません。

4 フレックスタイム

 始業終業の時刻を従業員に自由に選択できるようにした制度です。
 この制度は出退社が自由な時間帯のフレキシブルタイムと、必ず仕事に就いていなければならない時間帯のコアタイムで構成されます。ただ、コアタイムを設けずにすべてフレキシブルタイムとすることも可能です。
 このフレックスタイム制を採用するためには、就業規則で始業終業の時刻を社員に自由に任せる旨を定めたうえ、労使協定を結ばなければなりません。

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菊池捷男(弁護士)

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