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著作権 34 損害賠償額の算定方法

2012年11月14日

テーマ:著作権

コラムカテゴリ:法律関連

1 著作権侵害製品の販売数量に、著作権者自らが販売することによって単位数量あたりの利益額を乗ずる方法(法114①)
すなわち、法114条1項により、著作権者、出版権者又は著作隣接権者が故意又は過失により自己の著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為によつて作成された物を譲渡し、又はその侵害の行為を組成する公衆送信を行つたときは、その譲渡した物の数量又はその公衆送信が公衆によつて受信されることにより作成された著作物若しくは実演等の複製物の数量に、著作権者等がその侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を、著作権者等の当該物に係る販売その他の行為を行う能力に応じた額を超えない限度において、著作権者等が受けた損害の額とすることができる。
ただし、著作権を侵害された者において、侵害された数量を販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量に応じた額が控除されることになる。

2 侵害者の利益を著作権者の損害と推定する方法(法114②)
すなわち、法114条2項により、著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者・・・がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、当該著作権者・・・が受けた損害の額と推定されるのである。
なお、侵害者の利益とは、侵害者が得た粗利益や純利益ではなく、著作権者がその侵害製品を追加的に販売したとすれば得られた売上額から、その追加的に販売したことによって生ずる経費(変動経費)を控除した利益(「限界利益」という)であるというのが判例・通説である。
ただし、侵害品の販売が、侵害された著作権のおかげ以外にも他の要因による場合もあるので、その場合は、侵害された著作権の寄与分だけしか損害賠償の請求は出来ない。

3使用料相当額の請求(法114③)
すなわち、法114条3項により、・・・その著作権又は著作隣接権を侵害した者に対し、その著作権又は著作隣接権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額を自己が受けた損害の額として、その賠償を請求することができる。
なお、使用料が、例えば販売価格の5%等と割合で決められている場合は、その基準になる販売価格は、正規品価格になる。廉売価格になるのではない。
さらに、なお、著作権侵害による損害賠償額は、この使用料相当額が最低の金額になる。

4著作権者の損害額が、使用料相当額を超える場合は、その損害賠償の請求が可能(法114④)
すなわち、法114条4項により、著作権を侵害された者は、使用料を超える損害の賠償の請求を妨げないのである。
ただし、この場合において、著作権又は著作隣接権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかつたときは、すなわち、軽過失の場合は、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、使用料までの減額を限度として、減額することができる。

5 裁判所は、相当な損害額の認定ができる(法114の5)
すなわち、法114条の5により、著作権、出版権又は著作隣接権の侵害に係る訴訟において、損害が生じたことが認められる場合において、損害額を立証するために必要な事実
を立証することが当該事実の性質上極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができるのである。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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