コラム
著作権 33 著作権の侵害があったときの救済方法
2012年11月13日
1 差止等の請求
⑴ 著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、その著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる(法112①)。これが「差止請求権」のことである。
⑵ そして、著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、差止請求権を行使するときは、同時に、侵害の行為を組成した物、侵害の行為によつて作成された物(例:違法に複製された書籍等)又は専ら侵害の行為に供された機械若しくは器具の廃棄その他の侵害の停止又は予防に必要な措置を請求することができる。
東京高判平12.5.23(三島由紀夫未公開手紙の無断公表事件)では、書籍及びこれに関する印刷用紙型、亜鉛版、印刷用原版(フィルムを含む。)の廃棄を命じている。
⑶ 侵害者の故意・過失は不要
差止等の請求は、侵害者に故意・過失が無くとも可能である。
2 損害賠償請求(民法709)
侵害者に故意又は過失があれば、著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、損害賠償請求の請求が可能である。
この損害賠償請求の場合は、著作権侵害者に故意又は過失の存することが要件になる。
損害額については、別のコラムで解説予定。
3 名誉回復等の措置請求(著作権法115)
著作者又は実演家は、故意又は過失によりその著作者人格権又は実演家人格権を侵害した者に対し、損害の賠償に代えて、又は損害の賠償とともに、著作者又は実演家であることを確保し、又は訂正その他著作者若しくは実演家の名誉若しくは声望を回復するために適当な措置を請求することができる。
東京高判平12.5.23(三島由紀夫未公開手紙の無断公表事件)では、名誉若しくは声望を回復するための措置として、裁判所が作製した謝罪文を持ちの大きさなどを特定して、特定の日刊新聞紙に掲載することを命じている。一般には、新聞紙上の謝罪広告が命ぜられる。
4 間接的な著作権侵害の場合
著作権が認められない場合でも不法行為が成立するとされる場合がある
知財東京高判平17.10.6は、競業他社のホームページ上の見出しを複製し、自己のホームページ上の見出しとして利用する行為自体、他社の権利侵害であるとして、侵害者の不法行為責任を認めた。
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