使用者のための労働問題 12 労働審判は便利②
1 過重労働が原因になる健康障害(過労死)、精神障害や自殺(過労自殺)多発している今、時宜に適った面接・指導が求められる。
2 産業医は、企業の利害と労働者の利害が対立するとき(解雇・復職・労災申請・安全配慮義務違反等での利害の対立)は、純粋に医師の立場で、専門知識と良心に従った中立の立場が要求される。
3 産業医が主治医になることは望ましくないとされる。
4産業医には、メンタルヘルス対策が求められる。精神科医が産業医になるケースも増えている模様。一般科の医師が産業医になっている場合も精神科医と相談できる関係の構築が重要とされている。
平成22年年11月22日、厚生労働省の要請に応えて、専門家による「事業場における産業保健活動の拡充に関する検討会」(座長・中原俊隆 京都大学大学院医学研究科教授)が公表した報告書は、要旨次のような報告書を公表し、産業医にメンタルヘルスへの対応能力を求めています。
【要旨】メンタルヘルスに対応できる産業医の体制は必ずしも十分ではなく、比較的小規模の事業場においては、産業医の選任率が十分ではない。産業医が選任されている事業場であっても、健康診断結果に基づく事後措置については、十分に実施されていない事業場や、産業医の活動時間や頻度が十分ではない事業場がある。しかし、産業医とメンタルヘルスに対応可能な医師・保健師等の連携により、充実したメンタルヘルス対策を実施している事例が少なくない。外部専門機関を活用できる仕組みを設けることが適当である。メンタルヘルスに対応可能な医師・保健師の確保、医師と保健師等との連携等を進める必要がある。