使用者のための労働問題 21 時間外労働における時間数と労働災害との関係
常時50人以上の労働者を使用する事業場(労働安全衛生法13条・施行令5)には、産業医の選任義務がありますが、この場合の産業医は、非常勤でもかまいません。この非常勤の産業医のことは、一般に嘱託産業医と呼ばれます。
しかし、常時1000人以上の労働者を使用する事業場又は特定の有害業務を行っている常時500人以上の労働者を従事させる事業場は、1人以上の常勤産業医、常時3000人以上いる事業所では2人以上の常勤産業医を選任する義務があります(規則13条)。この常勤産業医のことは、一般に、専属産業医と呼ばれます。
なお、1人以上の専属産業医の選任義務のある常時500人以上の労働者を従事させる事業場とは、規則13条1項2号に書かれている、次の業務をする事業場を言います。
イ 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
ロ 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
ハ ラジウム放射線、エツクス線その他の有害放射線にさらされる業務
ニ 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
ホ 異常気圧下における業務
ヘ さく岩機、鋲打機等の使用によつて、身体に著しい振動を与える業務
ト 重量物の取扱い等重激な業務
チ ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
リ 坑内における業務
ヌ 深夜業を含む業務
ル 水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカ
リ 石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務
ヲ 鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務
ワ 病原体によつて汚染のおそれが著しい業務
なお、本連載コラム「産業医」の2で解説した、事業者の医師による過重労働面接実施義務(面接指導等)は、嘱託産業医の選任義務のない事業者にも適用があります。