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相続相談 13 推定相続人の廃除

2012年7月23日 公開 / 2012年8月15日更新

テーマ:相続相談

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 相続 手続き

Q 私は会社を経営している者です。私は、これまで、長男を後継者にと考えて、教育してきたつもりですが、経営方針が合わず、長男は独立していきました。その結果、私の会社は大打撃を受けましたので、長男には何も相続させたくありません。推定相続人の廃除はできますか?
A できません。
1推定相続人を廃除できる理由
それは、
①被相続人に対して虐待をしたこと、
②被相続人に重大な侮辱を加えたこと、
③推定相続人に著しい非行があったこと、
(民法892条)です。
しかし、これらの程度が低いと、廃除は容易には、認められません。

2 廃除を認めた審判例と決定例
(虐待)
末期癌の妻(被相続人)からの、虐待を理由とする、離婚訴訟で係争中の夫に対する廃除(札幌家北見支平17.1.26)
(重大な侮辱)
両親(被相続人)の反対を無視して暴力団関係者と婚姻した娘に対する、侮辱を理由とする廃除(東京高決平4.12.11)
(著しい非行)
父親の多額の財産をギャンブルで使った長男に対する、父親からの、著しい非行を理由とする廃除(大阪高決平15.3.27)

2廃除を認めなかった例
(虐待)
父親から、長男に対する、長男夫婦から暴力を受けたことを理由とする廃除請求に対しては、長男夫婦の暴力はあったが、父親の言動もその一因になっているとの理由で、解除請求を認めなかった例(名古屋高決金沢支平2.5.16)
(重大な侮辱)
両親と同居している長男夫婦との間で、口論が絶えず、その過程で侮辱的な言動があったというだけでは、廃除理由にはならないとされた例(東京高決平4.10.14)
(著しい非行)
消費者金融から多額の借金をしているというだけでは、著しい非行とは言えないとされた例(福島家審平1.12.25)

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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