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交通事故 52 自賠責保険② 特徴

2012年7月3日 公開 / 2012年8月15日更新

テーマ:交通事故

コラムカテゴリ:法律関連

⑴ 対人賠償責任保険
自賠責保険は、被保険者が、交通事故により、被害者の生命・身体に損害を与え(人身事故)、被害者に対し、損害賠償責任を負ったときに、その肩代わり(一定の限度がある)をするものであり、これを対人損害賠償責任という。
物損は保険の対象にはならない。

⑵ 強制保険
ア 自賠法の適用を受けるすべての自動車・原動機付き自転車の運行供用者に、保険を付けることを義務づけている(自賠法5条)。
イ 保険会社も保険契約の締結を拒否できない(自賠法24条)。
ウ いったん結んだ自賠責保険契約は解除できない(自賠法20条の2)。
ここから自賠責保険のことを、法によって締結が強制された保険という意味で、「強制保険」といわれる。

⑶ 車検制度とリンク
自動車の運行供用者は、自動車検査証の備付け義務(道路運送車両法66条)が、また、自賠責保険証明書の備付け義務(自賠法8条)が課されている。そして、車検を受けるときは、必ず、行政庁に対し、自賠責保険証明書を提示しなければならないなどを義務付けており(自賠法9条)、自賠責保険は、車検制度と結合され、無保険車がでないような運用がなされている。

⑷ 免責要件の被害者からみた緩和
自賠責保険は、責任保険契約(被保険者が損害賠償の責任を負うことにより生ずる損害のてん補を目的とする契約)であるが、責任保険契約に適用される保険法17条1項の、保険者の免責事由に一定の制限を加え、交通事故の被害者の保護を厚くしている。

⑸ 過失相殺を制限
過失相殺を制限している(内容は別コラムで解説済)。

⑹ 保険契約の法定
保険金額が法定されている(自賠令2条)。また、適用に回数制限はない。
これら保険約款を、契約当事者の合意で変更することはできない。

⑺ 被害者請求制度
自賠責保険は、被保険者が損害賠償義務を履行したときの補てんを目的とするので、加害者請求が基本だが、被害者救済のため、被害者請求も認められている。
なお、加害者請求は「保険金」の請求(自賠法15条)だが、被害者請求は「損害賠償額」の請求(自賠法16条)という名目になる。

⑻ 時効期間
平成22年4月1日以降発生した交通事故については「損害及び加害者を知った時から3年間」(自賠法19条)。それより前に発生した交通事故については2年間

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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