交通事故 23 後遺障害① 自賠責が認めなかった後遺障害を認めた裁判例
1 入院雑費
1日につき1500円が認められる。
1日1600円×295日間を認めた東京地判平21.7.21、
1日1700円×33日間を認めた千葉地判平10.25、
1日1500円+貸しおむつ代1日2000円を認めた神戸地判平16.12.20もある。
2 将来の雑費
・1級3号の植物状態の18歳男性に退院後58年間、日額1500円の介護雑費(おむつ代)を認めた大阪地判平12.7.24
・1級3号、12級の併合1級の兼業主婦に対し、日常生活で必要とする製品を具体的に列挙して月平均2万8000円の雑費を、平均余命41年間分認めた東京地判平16.5.31
・人工的な導尿のためのカテーテルなどの用具代として月5万円を認めた東京地判平17.10.27がある。
・1級3号の被害者(症状固定時38歳)につき、年額90万円を認めた千葉地佐倉支平18.9.27等がある。
3 通院交通費・宿泊費等
通院に要する交通費は、電車・バス等の公共交通機関の利用料金が原則だが、次のような場合は、タクシー料金が、損害として、認められる。
・自宅から公共交通機関を利用する場所が遠く、困難
・仕事の関係で、重量のある物を携行する必要があり、公共交通機関の利用に支障がある
・事故による対人恐怖、外出困難な状況にある
・傷害の部位・程度により、タクシーによる通勤が必要
4 自家用車の利用
自家用車の利用には、ガソリン代が認められる
必要に応じ、駐車場代金、高速道路利用代金も認められる。
5 ホテル宿泊費等
重篤な被害者に付添う近親者が負担するホテル宿泊料、アパート家賃、仲介手数料、保険料、生活用具購入費用が、必要に応じ、認められる。
6 付添交通費
必要に応じ認められる。
・外貌醜状と左下腿部の神経症状で併合7級となった27歳女性の付添のための、ホテル宿泊費32万円、付添交通費4万円を認めた裁判例がある。
7 見舞いのための交通費
・併合4級の高校生の親のした120回の見舞いのうち、40日分24万円を認めた裁判例、・12級の29歳男性の両親と妹の見舞いのうち入院期間220日の内、数日分を認めた裁判例、
・1級の母親が266日間入院し、その間、子が78回見舞ったケースで、全見舞いの回数分を認めた裁判例などがある。
8 職場復帰のための交通費
・12級の女性が、職場復帰訓練のために、松葉杖を使ってタクシー通勤をした53日分の費用19万円余り、また、
・後遺障害非該当の被害者につき、通勤と仕事上の移動で、34万円のタクシー料金を認めた裁判例がある。
9 将来の交通費
・3級3号の51歳の被害者につき、年額64万1385円、平均余命まで27年間分を認めた裁判例がある。
10 医者への謝礼
社会通念上、相当なものであれば、認められることがある。
・献血をしてくれた人、医師、看護婦、ヘルパーへの謝礼を認めた裁判例、
・1級の被害者が、合計150万円を医師らへの謝礼として支払ったうち45万円が認められた裁判例
等がある。
11 学習費、保育費、通学付添費
必要性と相当性の範囲で認められる。
・1年間休学した女子高校生に、退院後1年間の補習費47万円を認めた裁判例
・1年間休学した大学生に、授業料282万円を認めた裁判例
・事故により留年を余儀なくされた高校生に、学費41万円を認めた裁判例
・入通院で2年間留年した大学生に、2年分の授業料208万円を認めた裁判例
等がある。
12 家屋・自動車等改造費
・後遺障害1級の被害者のための家屋改造費、私道改造費、仮住居家賃、引越費用、登記費用2200万円余りをかけたうち7割を損害と認めた裁判例、
・1級の被害者のため自宅にエレベーターを設置した費用のうち8割を認めた(2割は家族が利便を受けることを理由に、損益相殺された)裁判例
・右下肢欠損(4級5号)と高次脳機能障害(7級4号)で併合2級の被害者、エレベーター設置費用等の8割を認めた裁判例等がある。
・右足関節機能用廃等、併合6級の被害者についても、また、
・左足関節痛の(12級12号)の47歳男性についても、家屋改造費の一部425万円を認めた裁判例等がある。
13 自動車改造費
これも必要に応じ、損害として認められる。
・等級の低いところで、7級の被害者について認めた裁判例がある。
14 その他
・家庭教師の謝礼
・無駄になった授業料・入学金
・無駄になった自動車教習費用
等を、損害として認めた裁判例がある。