![菊池捷男](/elements/okayama/profiles/kikuchi/images/cache/thumbnail_l_1493169169_200_200.jpg)
コラム
法諺⑤ 法の不知はこれを許さず
2011年5月28日
1 事実の錯誤は故意を阻却する
猪狩りに行った者が、木の陰で動く物を見て、猪だと思い、鉄砲を撃ったところ、その物は猪ではなく人であった。この場合、鉄砲を撃った者は、殺人あるいは殺人未遂に問われるのか、といいますと、そうではありません。
刑法38条1項本文は「罪を犯す意思がない行為は、罰しない。」と規定していますが、「人」を殺害する意思で鉄砲を撃った者が殺人罪やその未遂罪に問われるのであって、「猪」を殺害する意思で鉄砲を撃った者が「殺人」の罪に問われることはないのです。
「猪」と「人」を見間違ったことを「事実の錯誤」と言います。事実の錯誤は、故意を阻却する、つまり殺人の意思があったとはされないのです。
2 法律の錯誤は故意を阻却しない
上記の例で、鉄砲打ちの狩猟者が、猪狩りをしているときは、人に鉄砲を向けて撃っても許されると考えて、人であることを知りながらその方へ鉄砲を向けて撃った場合、これは「殺人」の罪に問われます。
法律の錯誤は、故意を阻却しないのです。
方の不知はこれを許さずなのです。
3 それが悪いことだとは知らなかったという弁解は通らない
のです。刑法38条3項は「法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。」と規定しているのです。
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。