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林原と会社更生法 7 事業譲渡型か、収益弁済型か?

菊池捷男

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1 更生手続開始決定
林原につき、12011年3月7日更生手続開始決定が出された。
マスコミ報道によれば、
① それまでの保全管理人が更生管財人になった。
② スポンサーになるとして名乗りをあげている会社が70~80社にのぼっている。
③ これらスポンサー会社候補には、食品会社、製薬会社、他業種の会社などの事業会社、ファンドなどがあり、国内企業のみならず海外の企業もある。
という。

2 事業譲渡型、収益弁済型、中間型
 今後、更生管財人にとって重要な仕事は、スポンサー会社の決定である。
その場合、管財人はどういう方針でスポンサー会社と向き合うのか、が問題だ。

⑴ 事業譲渡型
 スポンサー会社が、林原をまるまる、一定の金額で買ってしまい、管財人が、その代金をもって債権者へ配当して、更生手続を終結させてしまう方法が事業譲渡型だ。
林原の資産を1000億円とみれば、1000億円を支払う会社が出れば、そうなる可能性がある。

⑵ 収益弁済型
 スポンサー会社が、林原に出資して林原を経営をし、その利益でもって、債権者に弁済をしていく方法が、収益弁済型だ。

⑶ 中間型
 管財人が、収益を期待できない事業や資産を売却し、収益を期待できる事業を残し、残した事業にスポンサー会社の支援を求めるのが、中間型だ。

3 林原のもつ公共財は公共財であり続けるか?
⑴ 事業譲渡型
この型は、価格競争になる可能性が大となり、高く買う者が優位に立つ。
すなわち、譲渡代金は、共益費を除いて、債権者への弁済や配当に回されるのであるから、債権者にとっては、最も高い金額で林原を買う会社が、最も高い配当を与えてくれることになり、良いスポンサーということになる。
管財人も、二番手、三番手の価格しか提供できない買主に林原を売ることは難しいかもしれない。
さらに、この型をとれば、ファンドや新興国の会社が、林原の所有者になる可能性もある。
これをされると、公共財でもある林原の、公共財は保証されない。

⑵ 収益弁済型
この型は、価格競争とは無縁だ。スポンサー会社が拠出するお金は、債権者への弁済や配当に回されるのではなく、林原の資本金になるからだ。
スポンサー会社が出すお金が、林原の資本金になり、債権者への支払に回らない、ということは、債権者にとって、誰がスポンサー会社になるかについては、法的な利害関係を持たないことになり、管財人が、スポンサー会社を選択する際の、裁量の余地が大きくなる。
ここでは、管財人の、価値観、人生観、企業観が、ものを言う。

⑶ 中間型
中間型は、処分する事業や資産については事業譲渡型が、残す事業については収益弁済型になる。

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