コラム
行政 24 法律と条令の関係② 条例が無効とされた事例
2011年3月4日 公開 / 2016年3月15日更新
1 地方自治法14条1項
地方自治法14条1項は「普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて・・・条例を制定することができる。」と規定しています。
2 最高裁昭和53.12.21判決
① 河川の管理について一般的な定めをした法律としては河川法があり、同法は、河川を、その公共性の強弱の度合に応じて、同法の適用がある一級河川及び二級河川(いわゆる適用河川)、同法の準用があるいわゆる準用河川並びに同法の適用も準用もないいわゆる普通河川に区分している。
② 一級河川とは、国土保全上又は国民経済上特に重要な水系で政令で指定したものに係る河川で建設大臣が指定したものをいい(同法4条1項)、2級河川とは、右政令で指定された水系以外の水系で公共の利害に重要な関係があるものに係る河川で都道府県知事が指定したものをいい(同法5条1項),準用河川とは、一級河川又は二級河川以外の河川で市町村長が指定したものをいい(同法100条)、普通河川とは、これらの指定を受けていない河川をいう。
③ 普通河川であつても、これを河川法の適用又は準用の対象とすることを必要とする事情が生じた場合には、いつでも適用河川又は準用河川として指定することにより同法の適用又は準用の対象とすることができる仕組みとなつている。
④ 以上のことを考慮すると、河川法は、普通河川については、適用河川又は準用河川に対する管理以上に強力な河川管理は施さない趣旨であると解される。
⑤普通地方公共団体が条例をもつて普通河川の管理に関する定めをすることは、地方自治法2条2項、同条3項2号、14条1項により明らかであるが、河川法が適用河川等について定めるところ以上に強力な河川管理の定めをすることは、同法に違反し、許されない。
⑥ ところで、河川法三条は、同法による河川管理の対象となる「河川」に含まれる堤防、護岸等の「河川管理施設」は、それが河川管理者以外の者の設置したものであるときは、当該施設を「河川管理施設」とすることについて、河川管理者が権原に基づき当該施設を管理する者の同意を得たものに限るものとしている。
⑦ このような河川法の規定及び趣旨に照らして考えれば、普通地方公共団体が、条例により、普通河川につき河川管理者以外の者が設置した堤防、護岸等の施設をその設置者等権原に基づき当該施設を管理する者の同意の有無にかかわらず河川管理権に服せしめることは、同法に違反し、許されないものといわざるをえない。
との理由で、普通河川の両端に丙を設置して、普通河川への出入りをできなくした私人に対し、普通管理条例に違反するとして塀の除却を命じた除却命令は無効である旨判示しました。
関連するコラム
- 地方自治 概算払と前金払の違い 2015-03-13
- 自治体のする契約 2 私法上の契約と公法上の契約 2013-09-11
- 地方行政 臨時職員と労働契約法18条による無期転換請求権 2015-05-28
- 地方行政 4 行政財産の目的外使用許可から賃貸借契約締結へ 2013-03-09
- 行政 2 たかが勧告と言うなかれ(行政指導でも取消訴訟の対象になる場合) 2010-09-30
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。