遺言執行者観に関する謬説がなくなるまで①
1 遺留分減殺請求の相手方
これは第1には、遺留分減殺請求の対象になる遺贈の受遺者や贈与の受贈者です。
2 包括承継人
前記受遺者や受贈者の相続人及び包括受遺者は、包括承継人ですから、遺留分減殺請求の相手方になる地位を当然に承継しています。
3 悪意の特定承継人
例えば、Aが、軽い認知症に罹患したBに、甘言をもって近づき、Bに「全財産をAに遺贈する」旨の遺言を書かせ、Bの死後Bの財産をA名義にしたが、Aの配偶者や子から遺留分減殺請求を受けることを予測して、それらの財産を、事情を知っているCに譲渡したような場合は、Bの配偶者や子は、Cに対しても、遺留分減殺請求ができます。この場合のCを「悪意の特定承継人」といいます。
民法1040条1項ただし書きで「(減殺を受けるべき受贈者の贈与財産の)譲受人が譲渡の時において遺留分権利者に損害を加えることを知っていたときは、遺留分権利者は、これに対しても減殺を請求することができる。」と規定しておりますが、これは以上の意味になるのです。
4 遺言執行者
遺言執行者も、遺留分減殺請求の相手方になります(大審院昭和13.2.26判決)。