コラム
行政 16 在外邦人選挙権事件―抗告訴訟をしないで、当事者訴訟が可能1
2010年10月14日 公開 / 2016年8月10日更新
当事者訴訟で選挙権の行使が可能
これは、最高裁判所大法廷平成17.9.14判決の事案です。
最高裁は、海外に移住して住民基本台帳から登録が抹消され、選挙人名簿にも登録されなくなった国民から、①公職選挙法の違法確認と②選挙権を有することの確認と③選挙権を行使できなかったことによる損害賠償の請求を求めた事件で、②選挙権の確認と①損害賠償の請求を認めたのです。
行政事件訴訟法4条の「当事者訴訟」の制度を活用することで、事後の救済ではなく、事前の救済が可能になったのです。当事者訴訟は、今後、広く活用されることが予想されます。
なお、当事者訴訟は、行政事件訴訟法の改正前においては、要件が極めて厳格で、あまり使われなかったとされているのです。ですから、このような形で認められた影響は大きいものがあると思われます。
この訴訟は、抗告訴訟をしないでも、当事者訴訟で権利の回復ができるとされた事件です。
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