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笠中晴司

交通事故のトラブルを解決に導く法律のプロ

笠中晴司(かさなかせいじ) / 弁護士

丹波橋法律事務所

コラム

自転車事故に備える損害保険加入の義務化

2017年12月18日

テーマ:自転車事故

コラムカテゴリ:法律関連

京都府下全域にわたって,自転車に乗る場合,自転車事故に備える保険に加入することが義務化されます。

開始時期は,来年(平成30年)の4月からです。

詳細は,京都府の下記HPを確認していただければと思います。

http://www.pref.kyoto.jp/kotsuanzen/20170707.html#Q8

ただし,この「義務化」には,加入していない場合の「罰則」がなく,どこまで自転車保険が浸透するかは不明です。

しかし,ひとつ言えるのは,条例で義務化された以上,「条例に違反して保険に加入していない」ことは,万一,事故を起こして相手に怪我をさせ,加害者となってしまった場合の刑事処分の重さの判断では,考慮される(当然,「未加入」の場合,処分が重くなる方向に働きます)と思います。

つまり,ここからは,自動車の話となりますが,現在,自動車を運転して交通事故をおこし,相手に怪我をさせた場合,相手の怪我に対する賠償義務を果たせるだけの保険(この場合は,「任意保険」を主に差します。)を契約しているかどうかは,刑事処分(罰金や下手をすると刑務所にまで行くこと)の重さを判断するひとつの材料になっています。

また,強制保険である自賠責保険(共済)に未加入の状態で運転した場合は,「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」となります(この他,交通違反となり違反点数6点が付され、即座に免許停止処分となります)。

さらに,自賠責保険(共済)の証明書を所持していなかっただけでも30万円以下の罰金が科せられます。

自転車の場合,自動車の自賠責保険ほどの罰則がつくことは現状ありませんが,上記,自動車の場合,任意保険は「義務化されていない」にも関わらず,実質的には刑事処分の重さを判断する材料となっているので,それ以上に,「義務化された」自転車の保険につき,未加入の状態で事故を起こした場合は,刑事処分の重さが変わってくることは十分に予想されます。

ですので,「罰則がない」からといって,「自転車事故に備える保険に加入しなくともよい」ということは決してありませんので,皆様,ご注意ください。

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笠中晴司

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笠中晴司(丹波橋法律事務所)

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