コラム
左足が義足の御婦人
2012年6月11日 公開 / 2014年7月17日更新
11時にご予約をされていた方をお待ちしていると、店の前に乗用車が停まりました。
車の中から男性と御婦人が降りてきます。
男性が御婦人の介助をしています。
御婦人は両手に杖を付いて、ゆっくりとぎこちなく歩いてきます・・・。
「ああ、これは相当重篤な方のようだ」と思う私。
自動ドアを開けて声をお掛けしました。
「11時にご予約の○○様ですね?」と私。
すると、
「予約なんかしていないわよ・・・。」と御婦人。
どうやら予約されていた方とは別の飛び込みの方のようです・・・。
「お宅は靴を作ってくれるんでしょ?」と御婦人。
「はい、足の痛みの原因をお調べして、足をサポートする靴をご提供していますが・・・。」と私。
「別に足は痛くないのよ。足がないから・・・。」と御婦人。
「?????」
御婦人が左足のズボンをたくし上げると、義足でした。
「病院で靴を買ったんだけど、直ぐにマジックベルトが外れて歩き辛いのよ・・・。」と御婦人。
履いている靴は、いわゆる「介護シューズ」と呼ばれているタイプでした。
「予約しないと診てくれないの?」と御婦人。
「実は11時にご予約が入っているので・・・。」と私。
「靴が欲しいだけなんだけど・・・。」と御婦人。
「そうですか。では、靴を脱いで此処に立ってもらえますか?」と私。
立位を調べると骨盤はほぼ水平を保っていました。
健足の方の右足も、特に大きな問題はないようでした。
履いていた靴は右が23cmで左が24cmでした。
サイズが左右別々に買えるタイプの介護シューズのようです。
例によって、靴底もアッパーも義足や筋力の低下した足を支えるのには柔らかすぎます。
義足の歩行を助けるには、ロッカーソールの靴が良いと判断したので、23.5cmのマジックベルトのロッカーソールの健康靴を履いてもらう事にしました。
義足の方は靴を履くのにちょっとしたコツがいります。
少し加工をしないといけないようでしたが、とりあえず履いて歩いて頂きました。
「あら、これは歩き易いわ。全然違うわね・・・。へえー、たいしたもんね・・・。」と御婦人。
「左側は少し義足を入れ易い様に加工するといいと思いますよ。」と私。
「すぐに出来るの?」と御婦人。
「ええ、5分位お待ちいただければ・・・。」と私。
その時、11時にご予約された方がご来店されました。
大きな混乱もなく無事に加工を終えた健康靴を履いて、義足の御婦人はお帰りになりました。
「足と靴の相談室」ロビンフット長津田 http://www.robinfoot.co.jp/
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