コラム
お母様へのプレゼント
2012年5月11日 公開 / 2014年7月17日更新
「すみません、ちょっとご相談したいんですが・・・。」と言って入ってこられた50歳代?の御婦人。
「はい、何でしょうか?」と私。
「実は母の靴を探しているんですが、22.5cmの4Eという靴はありますか?」と御婦人。
「ごめんなさい・・・。当店は足のトラブルの原因を調べて健康靴やインソールをご提供しているので、ご本人の足を診てみないと、対応ができないんですよ・・・。」と私。
「ああ、そうなんですか・・・。地方に居る母がなかなか足に合う靴が無いらしくて、専門店で買って送ってあげようと思っているんですけど・・・。」と御婦人。
「母の日のプレゼントですか?」と尋ねる私。
「ええ、そうですね。ちょうどタイミングが良いかなあと思って・・・。」と御婦人。
「そうでしたか・・・。でも、靴はご本人の足の大きさや幅の広さも重要な選択の基準ですが、最終的には足の健康状態に関わる筋力や骨格の歪みなどが履き心地を左右しますから、プレゼントには向かない商品かもしれませんね・・・。」と私。
「それは何となく分かりますけど、いちいち母を連れてくる事も出来ませんし・・・」と御婦人。
「以前は靴の商品券を業界で発行していたんですが、あまり使われる事も無く廃止されちゃいましたからねえ・・・。」と私。
「地方には足を診てくれるような靴専門店が無いらしくて、本当に困っているようなんです・・・。」と御婦人。
「いやいや、実際には都会でも足に合う靴を探すのに苦労なさっている方が多いんですけどね・・・。」と私。
「実は私もその中の一人です・・・。」と御婦人。
「では、おせっかいなようですが、奥様の足を使って当相談室の仕事の内容を説明させてもらってもいいですか?」と尋ねる私。
「はあ・・・。」と少し戸惑った感じの返事が返ってきました。
御婦人に靴を脱いでマットの上に立って頂き、簡単な足骨格の歪みを調べ、足の実寸を測り、健康靴に簡単な調整パーツを組み込んだテストシューズを即席で組み立てました。
「本当に簡単に健康靴を組み立てましたから、ちょっと履いて歩いてみて下さい。」と私。
恐る恐る歩きだす御婦人。
「どうですか? 何か不思議な体験でしょ?」と私。
「うわー、なんか足の下が変な感じ・・・。指圧されてるみたい・・・。」と御婦人。
「最初は違和感がありますけど、すぐに慣れてきますから、少し行ったり来たりして歩いてみて下さい。」と私。
暫く店内を歩いてもらいました。
「どうですか? 少し違和感が無くなってきたでしょう?」と私。
「ええ、何だか軽く楽に歩ける感じがしてきました。足の裏が気持ち良くなってきたみたい・・・。」と御婦人。
「今は説明のために、簡単に手早くザッとやりましたけど、こういう手順で足のための健康靴を調整加工してご提供するのが当相談室の役目なんですよ。」と私。
「ああ、そうでしたか・・・。確かにきちんと自分の足に合った靴を作って貰えば楽になるんでしょうね・・・。」と御婦人。
「ですから、ご本人の足を診なければ対応が出来ないんです。」と私。
「わかりました・・・。どうもありがとうございました。もしも母がこちらに出てくる機会があったら、その時はお世話になります・・・。」と御婦人。
「お役に立てなくてごめんなさい・・・。」と私。
「いいえ、詳しく説明してもらったから、とても良く分かりました。」と御婦人。
ペコリ、とお辞儀をされて出て行かれました。
「足と靴の相談室」ロビンフット長津田 http://www.robinfoot.co.jp/
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