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コラム

傾聴してくれる人の存在が重要

2023年1月31日

テーマ:気づきの窓

コラムカテゴリ:ビジネス

 自分の人生の使命に辿り着くには、抱えている悩みに自分の力で限界まで悩むことが必要です。その先に「自分はこれをするために生まれてきたのだ」という「人生の使命」「生まれてきた理由」についての気づきを得ることができます。

 では、悩んでいる人のために周りができることは何でしょう。それは「傾聴」、つまり深く耳を傾けることです。誰かに深く耳を傾けてもらえた時、人は自分自身を見つめることができます。そして自分の人生に起きた出来事の意味を、もう一度掴み直すことができるのです。

 話には「浅い」「深い」があります。浅い話とは単なる雑談、深い話とは生きる意味に関わるような話です。この二つの話の聴き方は大きく異なります。

 たとえば、「あそこのカレーライスがおいしいよ」などの浅い話には自分の思っている言葉をどんどん言っても構いません。それで会話も盛り上がりますから。しかし、深い話の時は深く傾聴することがとても大事です。相手に寄り添い、決して言葉を挟んではいけません。

 ポイントは「モードを合わせて聴く」ということです。人は深い話になると、話し方が少し変わるのです。

 ある女性とカウンセラーの話です。女性は「絶対にあの人と離婚したい」と夫の愚痴をずっと話していました。カウンセラーは「それはつらかったですね」と相槌を打つくらいでした。彼女は次の週もその次の週も、やって来てはノンストップで悪口を言いました。ところが4週目にお会いした時、20分くらい愚痴を言った後、話し方が変わったのです。

 「先生、今日、ちょっと思ったんです。…」。視線が落ち、声が低く小さくなりました。愚痴をこぼしている時と明らかにモードが変わりました。

 そして「私、『離婚する』って毎週言ってますよね。そう言いながらここに来るのも4回目になりました。実際、夫に対しては何も行動してないのです。なぜ実行に移せないのか。何が引っかかっているのかな…」と言いました。

 カウンセラーは「そうですか、あなたの中で『何か』が引っかかっているのですね…」と、一つひとつ言葉を響かせるように聴きました。

 この時に何を言うかはそんなに大事ではありません。相手の邪魔をせず、同じような雰囲気で聴いていく。そのことでその人は自分の内側にしっかりと意識を集中でき、自分の悩みについて深く考えることができるのです。

 すると、その人は自ら気づきます。「そうか、私は夫と本当にダメなのかどうか、まだ実感していないのですね。夫とやり残したことがあるから、現実の離婚に踏み切れないのでしょうね」と。

 こうして新たな気づきが生まれます。そして悩み苦しんでいたことの意味が分かるのです。

 自分の内面に入りこめずに悩んでいると、悩みから逃げてしまいます。真剣に考えることができないで、結局また浅いところで堂々巡りしてしまうわけです。

 自分自身を見つめて深く考えるためには、深く聴いてくれる人の存在がとても重要なのです。

この記事を書いたプロ

下裏祐司

事業と社員の成長を導く企業活性化コンサルティングのプロ

下裏祐司(株式会社飛泉)

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