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部下に思いが伝わる上手な叱り方

2023年1月26日

テーマ:気づきの窓

コラムカテゴリ:ビジネス

 「上手な叱り方ってありますか?」という質問をいただいたことがあります。

 「叱る」という行為は、ただ自分の感情を発散したくてやるわけではないと思います。それは「怒る」ということです。叱るには何かしらの目的があります。

 例えば、相手に「もっと成績を良くしてほしい」とか、「もっとみんなに認められるようになってほしい」という目的があると思うので、そこにフォーカスするのです。

 これは本当にあった話です。ある会社の社長さんは、遅刻する新入社員に困っていました。「何と言えば分かってくれるかな」と悩んだそうです。

 実はその社長にも新入社員時代、同じように遅刻して上司から「やる気がないなら帰れ」と言われたことで「学生気分が抜けてなかった」と目が覚めたという経験がありました。

 それ以来、「上司に認められるように頑張ろう」と気持ちを入れ替えて仕事を頑張った結果、社長にまでなることができたのだそうです。

 その経験から社長は、かつての上司と同じようにその新入社員に「やる気がないなら帰れ」と叱りました。

 どうなったと思います?

 その新入社員は本当に帰っちゃったそうです。

 その後、別の上司が彼に電話して「どうして帰っちゃったの?」と尋ねると、「社長から『やる気がないなら帰れ』と言われたので言われたとおりに帰りました」と。

 これはすごく不幸な結果だと思います。社長は期待と愛情を持ってその社員を叱ったわけです。にもかかわらず、それが社員にはきちんと伝わらなかったのです。

 この場合、「遅刻みたいなつまらないことでせっかくの評価を下げたらもったいないよ」と言ってあげるのが、今の時代の答えだと私は思っています。

 「君は評価されているよ。だけど遅刻という、仕事と関係のないところでその評価が下がったらもったいないよね」ということを伝えるのです。

 そう言われると、相手は「自分は仕事で評価されているのに、遅刻でそれが下がってしまうのは嫌だな」と自発的に遅刻を改めようとするものです。

 「叱る」という行為にはどうしてもマイナス要素が入りやすいものです。だから、まずは相手の「認められたい欲」を満たしてあげるとか、「相手の好きなこと」を元に伝えてあげることがいいのではないかと思います。

この記事を書いたプロ

下裏祐司

事業と社員の成長を導く企業活性化コンサルティングのプロ

下裏祐司(株式会社飛泉)

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