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コラム
中村久子女史から学ぶ
2023年3月23日
飛騨高山に中村久子さんという人がいました。中村さんは2歳の時に左足の甲が凍傷になりました。そこから雑菌が入って、突発性脱疽(だっそ)という病気にかかりました。
医者に診てもらったら、「これは切断しましょう」と言われたのですが、2歳の女の子に切断というのはあまりにも不憫(ふびん)だったので、切断せずに両親は連れて帰りました。それから両親は病気が治るように一生懸命祈りました。しかし、再び医者に診てもらった時には病気が他の手足にも広がっていました。
「もう四肢切断しないと命の保証はできません」と言われたので、両親は泣く泣くわが子の両手両足を切り落とすことにしたのです。
中村さんはその後、生業がなくて自ら見世物小屋に身を売ります。「だるま娘」という芸名で、自分の一番見せたくない姿を見せて生きていきました。中村さんは「何ですぐに切り落としてくれなかったの」と両親を恨んだと思います。「あの時に切り落としていれば、まだどこかの手足は残っていたのに」と。
中村さんは後に浄土真宗の門徒になって、「私がここまで生きてこられたのは、たくさん応援してくれる人がいたからです。たくさんの教えを立派な先生方に説いてもらい、導かれて、ここまで来ることができました」と語っています。そして、次の言葉にびっくりしました。
「本当の私の先生は、失くなった手足でした」
中村さんは自分の手足がなかったことで、どんなにつらい思いをしたことでしょう。でも、それが転じて「私の先生は失くなった手足でした」と言えるようになりました。
この言葉を聞いて、それまで「あれがあったら、これがあったら」とないものねだりで、「こうだったら幸せだったのに」と思っていたのですが、そういう境遇も含めて「自分の人生」ということに気付きました。中村さんは一人ひとりにそう語り掛けている気がします。
誰しもいろんな失敗をするけれど、私は中村さんから「失敗も含めてあなたの人生ですよ」と言われたような気がします。生きていればいろんなことがあると思います。でも、その全てが自分の人生なのです。
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