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コラム
素敵な組織 その2
2022年12月15日
前回は、理念、すなわち考え方を変えたらサービスの内容が変わってV字回復した二つの自動車学校の事例を紹介しました。
「理念」の次は「仕組み」の話です。
前回紹介した武蔵境自動車教習所(前号参照)のすごいのが朝礼です。「褒め褒めリレー」というものを行っています。社員がペアになって褒め合うのです。
「この間、年配の教習生の荷物を入り口まで持って行ってあげているのを見て、その親切心は見習いたいなと思いました」と褒めて拍手をする。すると、そんなところを見てくれているんだと嬉しくなる。
今度は相手が「この間、誰もいないのにゴミを拾っているところを見てました」と褒めて拍手をする。
褒め方もいろいろあり、「そこ褒めるんだ」みたいなところを褒められると、やっぱり嬉しいです。
会社には気の合わない人もいます。そのうち仲違いをしたりすると仕事が面白くなくなります。
しかし、そういう人から褒められたら「この人、タイプは違うけどいいところもあるよね」となってしまいます。人間とはそういうものなんです。
そうすると、職場がいい雰囲気になります。
大人になるとあまり褒められません。だから、ある女子マラソン選手が言った「自分で自分を褒めてあげたい」という言葉が流行るのです。
そうやって褒め合うことによって社員同士が向上していくのです。
その教習所が「優れた会社」というからには「優れた仕組み」があります。それは、人を褒めるために自然と観察力が磨かれるということです。
朝礼ではランダムに並ぶのですが、いきなり前の人と組んでも普通は褒められません。何を褒めようかと固まってしまいます。
つまり、褒めるということは結構高等な技術が必要です。その技術を磨くために常日頃から同僚を観察しています。「笑顔がいい」とか、何でもいいから見つけなければいけない。これはすごいことです。それがサービス精神の向上に繋がっていきます。
これをやったことで武蔵境自動車教習所は「教育業」から「サービス業」に変えていくことができました。
教育業は、極端に言えば踏ん反り返っていても「教官」でいられますが、サービス業はお客様をよく観察しなければいけません。でもいきなり「やれ!」と言ってもできませんよ。だからまず「社員同士で気付き合おう」とやったのです。
それで、社員は褒められると嬉しいだけでなく、「そういう褒める観点もあるんだ」と気付くし、自分もそういう観点で人を見ようとします。相乗効果が自然と働いていくのです。
しかし、この「褒め褒めリレー」、最初はみんなできなかったそうです。最初は洋服のセンスや髪型を褒めていました。そしてだんだん相手のいいところに気付けるようになっていきました。人間のスキルはステップアップするので最初は緩くていいのです。
週一回から始めてもいいし、褒める対象を事前に決めてペアを組んでもいいと思います。
とにかく「褒め合う」という仕組みで社員がどんどん成長していき、職場の雰囲気が良くなり、業績も上がっていきます。
これが優れた仕組みということです。
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