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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

スマホ依存の若者は脳画像検査に異常?

2018年1月6日

テーマ:医療界の新発見?

コラムカテゴリ:医療・病院

スマホ依存の若者は脳画像検査に異常?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘スマホ依存の若者は脳画像検査に異常?’という報告です。
 スマートフォン(スマホ)から離れられない若者に脳画像検査を実施したところ、脳内の神経伝達物質の活性のバランスに異常が認められたとする研究結果が北米放射線学会で発表された。

 この研究は高麗大学(韓国)の研究者らが実施したもの。対象は、インターネット依存症またはスマホ依存症と診断された10歳代の男女19人(平均年齢15.5歳)と、年齢および性をマッチさせた依存症のない健康な男女19人(対照群)。依存症患者には、インターネットまたはスマホへの依存症の重症度を測定する標準化された検査を実施した。この検査では主にインターネットやスマホの使用が日常生活や社会生活、生産性、睡眠習慣、感情に与える影響について評価した。

 また、依存症患者のうち12人には9週間にわたって認知行動療法を実施したが、その前にMRIの一種であるMRスペクトロスコピー(MRS)を用いて脳機能を評価した。MRSは体内の代謝物を非侵襲的に測定でき、主に脳腫瘍や脳卒中、気分障害、アルツハイマー病などの患者の脳機能評価に使用されている。

 その結果、インターネットまたはスマホの依存症患者では、対照群と比べてグルタミン酸-グルタミン(Glx)に対するγアミノ酪酸(GABA)の活性レベルの比が高いことが示された。GlxとGABAはいずれも脳内の神経伝達物質だが、Glxは興奮性、GABAは抑制性の物質とされている。同氏らによると、これまでの研究でGABAは視機能や運動調節、不安などさまざまな脳機能の制御に関与することが明らかにされているという。

 この研究結果を受け、米コーエン小児医療センターの研究者は「インターネットあるいはスマホへの依存症はギャンブルやポルノへの依存症に匹敵する病態かもしれない」との見方を示している。また、10歳代の子どもを持つ親に対し、同氏は「もしわが子がスマホ中毒ではないかと心配ならスマホやコンピュータの使用を制限すべきだ」と助言している。
 
 現代社会では様々な依存が問題となりつつありますが、今回のスマホ依存はある意味では若者における唯一の依存と言えるものかも知れませんし、その後の将来にも大きく影響を及ぼす可能性も否定できません。今後はこのような問題も含めて、真剣に取り組まなければならない問題に発展するかも?知れません。
18.1.5 吾妻

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