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コラム
原発事故後のリスクは被爆より糖尿病?
2017年10月13日
原発事故後のリスクは被爆より糖尿病?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘原発事故後のリスクは被爆より糖尿病?’という報告です。
2011年の福島原発事故は、住民の生活習慣病や放射線被ばくなどの複数のリスクの増加と恐怖を引き起こした。福島県立医科大学の村上道夫氏らが、原発事故関連の放射線によるがんリスクと糖尿病リスクの増加について損失余命(LLE)を用いて評価したところ、糖尿病関連のLLEが放射線被ばくによるがん関連のLLEを大きく上回った。
本研究では、南相馬市と相馬市(それぞれ、福島第一原子力発電所の北10~40kmと35~50km)の住民を調査。放射線被ばくと糖尿病のリスクを比較する指標として、LLE (loss of life expectancy)を使用した。また、食品流通の制限、除染、全身カウンター検査と介入など、放射線関連対策の費用対効果も評価した。
主な結果は以下のとおり。
・最初の10年間における糖尿病の追加発症率を考慮したシナリオでの糖尿病関連LLEは、全住民で4.1×10-2年、40~70代の住民で8.0×10-2年であった。
・生涯にわたる放射線被ばくによるがん関連LLEは、全住民で0.69×10-2年、40代~70代の住民で0.24×10-2年であった。
・上記のシナリオにおける糖尿病関連LLEは、平均的な放射線被ばくによるがん関連LLEと比べて、全住民で5.9倍、40代~70代の住民で33倍であった。
・放射線対策(食品流通の制限、除染、全身カウンター検査と介入)の1年余命延長費用(CPLYS)は、一般的な健康診断と従来の糖尿病管理のCPLYSより1桁超~4桁超、高かった。
この報告は一読しただけではなかなか理解しにくいかも?知れませんが、単純に言うと今回の福島原発事故においては放射能被爆によるがんリスクよりも糖尿病発症のリスクの方が明らかに高かったということです。色々な話で今回の原発事故はチェルノブイリの原発事故とよく比較されますが、事故後の状況がまるで違う様で全然比較にならないと言われてもいます。初期対応で政府が嘘八百を言っていたのでその後、どのような正確と考えられる医学的な発表も御用学者のレッテルを貼られて信用されない様な傾向がありますが、やはり事実は事実としてしっかり認識して行く必要はあると考えられます。今後の福島県浜通り方面を中心とした糖尿病患者さんの増加が懸念される報告ではあります。
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