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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

新型たばこはどうして推奨出来ないのか?

2017年12月10日

テーマ:たばこの害

コラムカテゴリ:医療・病院

新型たばこはどうして推奨出来ないのか?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘新型たばこはどうして推奨出来ないのか?’という報告です。

 昨年くらいから、新型たばこが「人気急上昇」「入手困難」といったニュースが流れ、たしかに、最近は街中でも新型たばこを吸っている人をよく見かけるようになりました。  
 こうした状況を鑑み、日本呼吸器学会が発表した「非燃焼・加熱式たばこや電子たばこに対する見解」のMedical Tribune中の記事「呼吸器学会が『新型たばこは推奨できない』」には多くの反響があった様です。禁煙や受動喫煙の問題とともに、医療従事者でも新型たばこに関する関心が高いことをあらためて感じられます。

同記事中では詳細は触れませんでしたが、学会の見解では、新型たばこの主流煙中に燃焼式たばことほぼ同レベルのニコチンや揮発性化合物、約 3 倍のアセナフテン(多芳香環炭化水素物)などの有害物質が含まれているとの報告があります。その一方で、新型たばこ使用者の尿中に排泄された有害物質の代謝物は、従来のたばこに比べて 20 ~ 60%少ないとする報告なども紹介されています。

 同記事の投稿コメントには、今回の学会の「推奨できない」とのある意味微妙な表現について厳しい意見も寄せられましたが、一貫した報告が得られていないため、このような表現にならざるを得なかった背景が伺えます。ニュース記事のため、詳細をご紹介する余裕がなかったことをご理解頂ければありがたいです。

 なお最近は、乳幼児やペットが新型たばこのカートリッジを誤飲する事例も増えているとか。引き続き、新型たばこ問題の動向を追いかけたいと思います。
*Medical Tribuneの記事を抜粋し、一部改変
 
 新型たばこが急速に普及し、それがあたかも健康には何ら問題がない様に宣伝されている昨今だからこそ学会的には何らかの見解を出す必要があったものと考えられます。ただ、厳密な意味で将来的ながんの発症等の科学的な根拠はまだ存在しないため若干言い回しに曖昧な所があったのも否めないのかも?知れませんね。いずれにせよ、新型たばこだから健康には何ら問題ないということは間違いである事は明らかな様です。

この記事を書いたプロ

佐藤浩明

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